頁岩(けつがん) Shale
*中央の石核の高さ35cm
頁岩は堆積岩の一種で、北海道南西部から本州東北地方で一般的に見られる岩石です。長万部町国縫地区の川では現在でも良質な頁岩を拾うことができます。
ピリカ遺跡の出土品の8割以上を頁岩製石器が占めていることから、ピリカ遺跡は近くに石材産地を控える石器づくりの一大拠点だったと考えられています。
黒曜石よりも硬く、刃こぼれしにくい特徴があるため、彫刻刀形石器等といった削る機能をもつ石器に頁岩が選ばれる傾向があります。
瑪瑙(めのう)Agate
ピリカ遺跡出土の瑪瑙製石器 *左端の長さ25.3cm
瑪瑙は玉髄の一種で、岩石の空洞中に石英等が縞状に形成された鉱物です。今金町花石地区から美利河地区にかけての地域は瑪瑙産地として知られ、明治10年代から昭和50年代まで工芸品の材料として盛んに採掘されました。ピリカ遺跡では瑪瑙製の石器も多く出土しており、全体の2割ほどを占めています。
頁岩よりも硬く、割ること自体が大変な石ですが、石器の一部がピンク色に変色しているものがあることから、ピリカ遺跡の人々は前もって火にかけて加熱し、薄く剥離しやすいよう変質させてから石器を作っているようです。
黒曜石(こくようせき)Obsidian
黒曜石は火成岩の一種で、溶岩が急激に冷えてできた天然のガラスです。北海道は黒曜石の産地としても知られ、四大産地(後志管内赤井川、オホーツク管内遠軽、同管内置戸、十勝管内十勝三股)があり、北海道東部に多い傾向があります。
黒曜石の割れ口は非常に鋭く、鋭利な刃を得やすいことから、石器の材料として旧石器時代から盛んに利用されました。ピリカ遺跡でも黒曜石製の石器が出土しており、理化学的な産地分析の結果、そのほとんどが赤井川産黒曜石であり、他の3つの産地のものもわずかに含まれていることがわかりました。最も遠いものが白滝産で、直線距離にして約300kmあります。旧石器時代にはすでに石材流通のネットワークがあったと考えられています。